2015年5月21日

6/20 第9回日本カンボジア研究会、発表要旨1

傘谷祐之(名古屋大学大学院法学研究科博士課程後期課程)
「フランス植民地期カンボジアにおける高級司法官
-司法官採用制度の整備と門閥司法官の出現-」

 フランス植民地期のカンボジアでは、1922年の司法組織改革により、取消裁判機関(juridiction d'annulation、サラー・ヴィニチャイ)を頂点とする司法組織が完成した。そして、1922年9月15日王令第115号は、司法官の採用に関す る基準や手続きを明確化した。本発表では、まず、同王令および関連する諸王令に基づいて当時の司法官採用制度を整理・検討し、司法官になるためには、所定 の資格(学位)を取得するか、採用試験に合格する必要があったことを示す。次いで、カンボジア国立文書館が所蔵する官報や「個人ファイル(dossier personnel)」等を下に、高級司法官の経歴を分析する。対象とするのは、1923年から1943年までに取消裁判機関の裁判官を務めた19名である。そして、一見すると門地とは無関係に見える司法官採用制度の下で、王族や大臣ら高官の血縁に連なる門閥司法官が出現したことを指摘する。

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